「夜のピクニック」 恩田陸 新潮文庫 2006

2013年05月23日 17:37

 『夜のピクニック』は、全校生徒が80㎞の道のりをただひたすら歩き続ける行事、”歩行祭”から物語が始まる、青春小説。歩行祭の前半;団体歩行では、それぞれの登場人物の性格、思い、賭け、おまじないの意味などが歩き続ける間にいろいろな形で表現されており、後半;自由歩行では、友情の大切さ、賭けの結末と合わせて、主人公、貴子と融の関係の変化などが主に描かれている。登場人物それぞれの、歩行祭を通して成長していく過程が面白い。また、人間模様だけでなく、歩くことで発見できる風景の描写が多々含まれており、”ただ歩くこと”も旅の一つであると初めて理解できた作品であった。

(豊見山佐妃)

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