
「日本列島を往く <4> 孤島の挑戦」 鎌田 慧 岩波現代文庫 2003
2013年10月17日 21:10海どう宝・石垣島
この章は筆者が新空港の建設に反対している人たちに会ってみたいということから、新空港に反対する人々の意見、建設反対の動きについて書かれていた。
「空港を建設すると自然がなくなり、自然を求めてやってくる観光客を失う」という、「空港」よりも「サンゴ礁」が大事だ、と自然を守ろうという意見だけでなく、「島を食い物にし、農業の衰退、漁場の破壊、精神文化の荒廃」を思案する声、さらには、空港の予定地は地元の人たちが神港としている聖地であるため、「そこに無理に作れば大きな事故が必ず起こる」など様々な反対意見が載せられていた。反対をしている人たちに会ってみたいということだったので賛成意見は少ししかなかったのだが、その中で空港建設予定の白保地区は石垣の少数派であり、白保がどうなっても石垣が発展すればいいというのが島の多数の意見であるようで、「自然は経済の犠牲になってもいい」という持論を持つ市長もいた。
筆者は、これまでの沖縄のサンゴの壊死を考えれば白保の海を守ることは自然破壊の重要な歯止めであり、世界の環境保全にもつながる問題であると最後に述べ、反対意見を示していた。これだけの反対運動があったにもかかわらずなぜ空港はできたのだろうか。(宇野祥子)
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